1982年に発売された255MGから14年後の1996年に680MGが誕生したが、その前年にリリースされたのがGlacier(グレイシア) 740だった。
1994年12月26日デザイン図面完
1995年春 Glacier 740国内発売
Glacier 740は、鍛造アルミマシンカット製でディスクブレーキ搭載のリール。
設計者は、MGリールの上級機種を意図し、付加価値をつけるため、ディスクブレーキを搭載することにしたのだろうが…
低番手リールにはオーバースペックだし結果的に重くなった。
自重は118g。スプール外径74mm。
コストもそれなりにアップし、メーカー希望標準小売価格は¥32,750。これは厳しい。
価格は横に置いてももっと徹底軽量化すべきだった。
フライリールの双璧ORVIS & Hardyはブランディングが確立しており、それらのトラディショナルな魅力を凌駕するのはもはや…。
さらに安価な類似品も増え続けていた。
できればラージアーバタイプを開発すべきだった、コンセプトを誤ったと言う他ない。
国内向けのGlacier 740はやはり短命に終わった。
自分は実釣でもよく使用したものだが、残念ながらこのリールを使っているFFマンにお目にかかったことは一度も無い。
ディスクブレーキのお世話になることもなかった。
それにしても、このデザインを担当したことは、私個人としては極めて重要で、ありがたい経験となった。
以降、今日に至るまで続くリール開発の仕事では、全てマシンカット製なのだから。
<補足>
拙ブログをご覧いただいた方から、Glacier 740の左右巻き方向変更の仕方についてお問い合せをいただきましたので、取扱説明書から抜粋して掲載しておきます。
さて、開発は続いた。
既述の255MGリールが無事に金型寿命を終えた。人でも天寿を全うするのは素晴らしいことに違いないが、製品もそうであろう。
新しく型を起こすに際し、モデルチェンジすることになった。
私はデザイングループの中間管理職として、リール担当ではなかったが、New 255MGだけは何としても手がけたかった。
つまるところ職権乱用させてもらって参戦した(笑)
開発スピードはめちゃくちゃ早かった。
そりゃそうです。255MGを使い続けてスペックはバッチリ頭の中にあったし改良点も決めていた。
255MGのパーツ流用そして今度もマグネシウムダイカスト製造だ。
1995年末には680MGデザイン完了。
パッケージデザインも担当した。
255MGのラインローラー無し自重:66.2g、スプール外径:75mmに対し、
680MGの目標自重70g以下、スプール外径は68mm。(ネーミングの680はこの外径をさす)
255MG後期型で実証済みのセラミックラインローラーは共用するので、70gを切れば十分だろう。
ラインキャパはDT3F〜4Fの表示。この当時は#3以下での使用は眼中になかったw(笑)
ワンプッシュスプール脱着機構にシンプルなラチェットドラグ、私は低番手リールはこれで良いと思っている。
塗装処理も全面マットブラックにして、落ち着いた道具感を出した。表面処理も多少は向上した。
デザインについては、255MGをベースにブラッシュアップして完成度が上がったと自負している。
実釣での使用感も申し分ない。
実戦的で価格も手頃。
↑自画自賛でスミマセンm(__)m
1996年春、 国内発売開始。
思いが叶い255MGの後継ができた。
このリールは私の置き土産、集大成のつもりだった。
無事発売を見届けて、社販価格で一台購入した。パッケージごと欲しかったからだ。
そしてR社を退職し独立した。
時は流れて2014年11月。
パッケージに収まったまま長い眠りについていた680MGが実戦デビューした。
以前当ブログで投稿した『
numa Zacco Special & 680MG入魂釣行 in H川・T川_プロローグ
』だ。この日の感動は一生忘れない。
それにしても、680MGは渓流のヤマメ・イワナからZacco FFまでのウルトラライトの釣りにぴったりで、ロッドとのバランスもすこぶる良い。
私はWF1Fラインにバッキングという仕様でZacco専用機として愛用している。
オイカワとの出会いがなかったら、ずっとパッケージに収まったままだったかもしれない。
EZFFの釣友の皆さんのおかげだと深く感謝しております。
さて、これで一区切りついた。
そろそろ釣りいきたいなぁ…